みなさんは口の中の健康が、全身の健康にとても大きな影響をおよぼすことをご存知でしょうか。実は、お口の中にいる細菌や炎症は、血管をとおって身体のさまざまな部分にとどき、思いもよらない病気のリスクを高めることがあるのです。
今回は、中野区の歯医者、ルミライズ歯科東中野が、口腔内環境の悪化が全身におよぼす影響について分かりやすくご説明します。また、日頃からできる予防法もあわせてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 口腔内環境の悪化とは
1.1. 口腔内細菌のバランスの崩れ
わたしたちのお口の中には、常に数百種類もの細菌が住んでいます。健康な状態では、善玉菌と悪玉菌のバランスがとれているため、特に問題はありません。しかし、歯みがきが不十分だったり、食生活が乱れたりすると、悪玉菌が増えて口腔内環境が悪化してしまいます。
悪玉菌が増える主な原因は以下のとおりです:
- 歯みがきやフロスによる清掃不足
- 糖分の多い食べ物や飲み物の摂取
- 喫煙や過度の飲酒
- ストレスや睡眠不足
- 口呼吸の習慣

1.2. 歯周病菌の増殖
口腔内環境が悪化すると、特に注意が必要なのが歯周病菌の増殖です。歯周病菌は歯ぐきに炎症をおこし、歯を支える骨を溶かしてしまう恐ろしい細菌です。この歯周病菌は、炎症をおこした歯ぐきから血管に入りこみ、血流にのって全身をめぐることがあります。
歯周病の進行段階は次のようになります:
段階 | 症状 | 特徴 |
---|---|---|
歯肉炎![]() | 歯ぐきの赤み・腫れ | 歯ぐきにのみ炎症がある状態 |
軽度歯周炎![]() | 歯ぐきからの出血 | 歯を支える骨が少し溶けはじめる |
中等度歯周病![]() | 歯のぐらつき | 骨の破壊が進み歯が動くようになる |
重度歯周病![]() | 歯の脱落 | 歯を支えきれなくなり抜け落ちる |

2. 全身への影響
2.1. 心疾患への影響
口腔内の細菌、特に歯周病菌は血管をとおって心臓に届くことがあります。歯周病のある人は心疾患のリスクが高くなるといわれています。これは、歯周病菌が心臓の血管に炎症をおこし、動脈硬化を進行させるためです。
歯周病と全身の健康は密に関係しており、歯周病の予防や治療をおこなうことで、様々な病気のリスクの低下や、全身の健康状態の改善につながります。

2.2. 糖尿病との相互関係
歯周病と糖尿病にも、とても深いつながりがあります。歯周病は糖尿病を悪化させ、糖尿病は歯周病を悪化させるという悪循環をうみだします。
歯周病菌がつくりだす毒素は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを妨げます。一方、糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、免疫力が低下し、歯周病菌に対する抵抗力も弱くなってしまいます。

2.3. 誤嚥性肺炎のリスク
高齢者の方に特に注意していただきたいのが、誤嚥性肺炎です。これは、お口の中の細菌が唾液や食べ物といっしょに気管や肺に入ってしまうことでおこる肺炎です。
口腔内の細菌が多い状態では、誤嚥性肺炎をおこすリスクが高くなります。特に、飲みこむ力が弱くなった高齢者の方では、命にかかわることもある深刻な病気です。

2.4. 妊娠への影響
妊娠中の女性にとって、口腔内環境の管理はとても重要です。歯周病がある妊婦さんは、早産や低体重児出産のリスクが約5〜7倍高くなるといわれています。
これは、歯周病菌がつくりだす炎症物質が子宮の収縮を促し、赤ちゃんの成長にも影響をおよぼすためです。妊娠をご希望の方や妊娠中の方は、ぜひ歯科健診を受けていただきたいと思います。

2.5. 認知症との関連
最近の研究により、歯周病と認知症にも深いつながりがあることがわかってきました。歯周病菌の一種であるポルフィロモナス・ジンジバリスという細菌の成分が、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳から検出されているという報告があります。
また、歯を失うことで噛む刺激が減ると、脳への血流が低下し、認知機能の低下につながることも指摘されています。


3. 予防法と改善策
3.1. 正しい歯みがきの方法
口腔内環境を改善するために最も大切なのは、毎日の正しい歯みがきです。ただ歯ブラシを動かすだけでなく、プラーク(歯垢)をしっかりと除去することが重要です。
効果的な歯みがきのポイント:
- 歯ブラシは鉛筆を持つように軽くにぎる
- 歯の表面に対してに90度の角度であてる
- 小刻みに優しく動かす
- 1本の歯につき20回程度優しく磨く
- 磨き残しがないよう順番を決めて磨く

3.2. フロスや歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に除去することはできません。フロスや歯間ブラシを使って、歯ブラシでは届かない部分もしっかりとお掃除しましょう。
フロスの使い方:
- 約40〜50cm(指先から腕まで)の長さに切ったフロスを用意する
- 両手の中指にまきつけ、人差し指と親指でささえる
- 歯と歯のあいだにゆっくりと入れる
- 歯の側面をこするように上下に動かす
- すべての歯のあいだをお掃除する
ルミライズ歯科東中野で人気があるのは、オーラルケアの「フロアフロス」です。
フロスに慣れていない方にも使いやすい、歯茎の中に入れても痛くないフロスで、384本の繊維が汚れをゴッソリ除去します。しっかりと歯を磨いたあとに通しても、たくさん汚れが取れるので、驚く患者さんが多くいらっしゃいます。使い方動画もわかりやすいので、ぜひご参考になさってください。

歯周病予防のためにつくられた、歯ぐきにやさしいデンタルフロス
「歯ぐきの中にいる歯周病菌を取り除くこと」を目的としてつくられたフロスです。
イタリア・ミラノで見つけた細菌除去率の高い繊維を、日本人のお口に合うように加工。
歯と歯の間はもちろん、歯ぐきの中までやさしく入り細菌をしっかり絡め取ります。
3.3. 定期的な歯科健診
定期的な歯科健診は、口腔内環境を良好に保つために欠かせません。専門家による検査とクリーニングにより、自分では気づかない問題を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。
ルミライズ歯科東中野では、患者さんお一人お一人の口腔内の状態にあわせて、最適な健診間隔をご提案しています。一般的には3か月から6か月に1回の健診をおすすめしています。


3.4. 食生活の改善
口腔内環境を良好に保つためには、食生活の改善も重要です。糖分の多い食べ物や飲み物は、悪玉菌のエサとなってしまうため、摂取量に注意が必要です。
口腔内環境に良い食べ物と避けたい食べ物:
おすすめの食べ物 | 効果 | 避けたい食べ物 | 理由 |
---|---|---|---|
繊維質の野菜 | 自然なお掃除効果 | 糖分の多いお菓子 | 悪玉菌のエサになる |
チーズやヨーグルト | カルシウム補給 | 炭酸飲料 | 歯を溶かす酸性度が高い |
緑茶 | 殺菌作用 | べたつく食べ物 | 歯にくっつきやすい |
魚や肉 | タンパク質補給 | アルコール | 口の中が乾燥しやすい |
とくに気をつけたいのは、長時間に渡って飲食を続ける“だらだら食べ”です。リスクの高い環境が長く続いてしまうので、食事や間食は決まった時間に短時間で済ませるようにしましょう。

3.5. 生活習慣の見直し
口腔内環境は、日々の生活習慣とも密接に関係しています。規則正しい生活を心がけ、ストレスをためこまないようにすることも大切です。
改善したい生活習慣:
- 十分な睡眠をとる(7〜8時間)
- 禁煙する
- 適度な運動をおこなう
- ストレス発散の方法を見つける
- 水分をこまめに摂取する

3.6. プロフェッショナルケアの活用
歯科医院でのプロフェッショナルケアには、家庭でのケアでは除去できない汚れを取り除く効果があります。特に、歯石除去やPMTC(専門的機械的歯面清掃)は、口腔内細菌の数を大幅に減らすことができます。
プロフェッショナルケアのメニュー:
- スケーリング(歯石除去)
- ルートプレーニング(歯根面の清掃)
- PMTC(専門的機械的歯面清掃)
- フッ素塗布
- 歯周ポケットの検査
磨き残しや磨き癖がないか確認してもらい、適切なセルフケアのアドバイスを受けること、ご自身にあったケア用品を提案してもらうことも、健康な口腔内と健康な全身のための大切な一歩です。


4. まとめ
口腔内環境の悪化は、単にお口の中だけの問題ではありません。心疾患、糖尿病、誤嚥性肺炎、妊娠への影響、認知症など、全身の健康に深刻な影響をおよぼす可能性があります。
しかし、適切な予防法を実践することで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。毎日の正しい歯みがき、フロスや歯間ブラシの使用、定期的な歯科健診、食生活の改善、生活習慣の見直し、そしてプロフェッショナルケアの活用が、健康な口腔内環境を維持するための鍵となります。
ルミライズ歯科東中野では、患者さんお一人お一人の状態にあわせたメンテナンスをご提案しています。お口の健康を通じて、全身の健康をサポートすることが、わたしたちの使命だと考えています。
お口の中で気になることがございましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。みなさまの健康で美しい笑顔のために、スタッフ一同、心をこめてサポートいたします。
